【御師旧外川家住宅】 富士山信仰を支えた現存する御師の家を見学できる。

御師旧外川家住宅

旧外川家住宅はおよそ120年前に繁栄した御師の宿坊。

御師旧外川家住宅

富士山に向かって金鳥居を南にくぐると、富士吉田市の上吉田という地域に入ります。上吉田は昔、「御師の宿坊」が多く存在していました。富士山への登拝が盛んになり、全盛期には約90軒の御師の宿坊が上吉田にあったと言われています。

しかし、現在では御師の宿坊が激減し、宿坊として運営しているのはわずか数軒となってしまいました。上吉田に現存する御師住宅の多くは、19世紀以降の建築と予測され、極めて貴重な建造物と言えます。

そんな絶滅の危機にある「御師の宿坊」を見学できるという情報を手に入れることができました。それが今回ご紹介する、富士吉田市の観光地「旧外川家住宅」です。

旧外川家住宅では、外川家の歴史と富士山の信仰について学ぶことが出来る。

御師外川家住宅 御師旧外川家住宅

金鳥居から400mほど南に進むと、向かって左手に拓けた土地と「御師旧外川家住宅」の看板が見えてきます。

富士山が世界遺産として登録された理由は、山の美しさや壮大さだけではありません。信仰や芸術と関係する山麓の神社や湖・湧水地・滝・松原などの構成資産が計25ヶ所存在し、旧外川家住宅も富士山世界文化遺産の構成資産の内の一つに選ばれたのです。

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観覧料はどれだけ滞在しても大人100円、小中高生50円。

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外川家は、奥行き80間ほどの長大な短冊形地割の屋敷地に建てられ、主屋と裏座敷の2棟から構成されています。御師住宅の特徴ともいえる奥行きのある長細い形状の屋敷です。

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奥に見える中門から受付へ。スタッフが施設内を回りながら付きっ切りでガイドをしてくれるそうです。長いと二時間以上話してくれるそうです。残念ながら私は急いでいたので「20分くらいで。」とお願いしたところ快く引き受けてくれました。

御師旧外川家住宅 御師旧外川家住宅

こちらは主屋の玄関となります。向かって右側の紙垂がある方は、富士登山者(富士講)専用の玄関。向かって左側は宿坊の人用の玄関です。それぞれ「玄関の間」と「火地炉の間」へと続いていきます。

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☝火地炉の間。お勝手に続く8畳の板の間で、お客さんの食事を用意する場所として使われました。夏には大きな配膳台が置かれ、多くのお皿が並び刺身や煮物などが盛り付けられました。部屋の真ん中には火地炉(囲炉裏)があり、登山から帰ってきた客が足を入れて乾かしたといいます。

窓の上の棚には恵比寿・大黒像が祀られています。天井の上は中二階となっており、生活用品を収納していました。

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☝玄関の間。

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これが、富士山がユネスコ世界文化遺産に登録された証明書。富士山は25ヶ所の構成資産から成り立っているので、この証明書が各所に置いてあるそうです。

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右上の写真は明治後期の金鳥居です。何度も改修を重ねましたが、場所は全く変わっていません。当時の外川家も見ることが出来ます。

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富士吉田市の有名な祭りであり、日本三大奇祭の「吉田の火祭り」や吉田胎内祭になると現在でもこうして旧外川家住宅で御焚上げの御加持(ごかじ)を行っているそうです。

御焚上げに使った塩と焚き符と線香の炭で塩加持を行います。布にくるまれた塩を肩・腰・膝などに当ててもらうとご加護があるそうです。

御師旧外川家住宅

2008年(平成20年)4月19日の山梨日日新聞の記事。当時で築240年の旧外川家住宅が改修工事を終え、富士講登山の歴史を現代に伝える史跡として、同月26日に一般公開を決めたことを伝えています。

御師旧外川家住宅

主に東京にある富士塚の写真が展示してありました。

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☝お風呂もほぼほぼ当時と変わらず。天井がおしゃれです。

御師旧外川家住宅

主屋の奥の渡り廊下を介すと、裏座敷に着きました。屋根形式は切妻造・鉄板葺で規模は主屋よりも大きい造りとなっています。この裏座敷は、主屋建立後の役90年後の万延元年(1860)頃に増築されて、改修や修理を繰り返して現在に至っているそうです。

御師旧外川家住宅

富士講の道者が宿泊した15畳もの大部屋(広間)です。窓の上部には棒が渡され、荷物や衣類を吊るした。部屋の四隅に柱の上部には、蚊帳を吊るす金具が取り付けられています。御師の家には客のために15畳の広さにも対応する大型の蚊帳が用意されていました。

御師旧外川家住宅

南西の障子の外は、板敷きの幅一間の廊下に続きます。昭和の初めころまで夏の登山期には100人もの客が宿泊することもあったので、建具を取り払い、建物全体を広々と利用しました。

御師旧外川家住宅

富士山の紙を祀る神殿が設けられた場所を「御神前」といいます。御師の家に到着した富士講の道者は御神前に座し、祝詞や御神歌を唱和していました。御神前は特別視され、当主以外の家のものが立ち入ることはほとんどなかったといいます。

裏座敷はこの御神前の間を中心として、左右に客室があります。家族が生活する主屋に対し、建物全体が神聖な場所として捉えられていました。

神殿は3つの扉が設けられた三社造で、富士山の神「木花開耶姫命(このはなさくやひめみこと)」を中央に祀っています。向かって左の棚には、食行身禄(じきぎょうみろく)の木造が安置されている。この像は文化7年(1810)に山真講の真行妙忡(しんぎょうみょうちゅう)が奉納したものである。

御師旧外川家住宅

この白装束が富士講道者の服装です。胴に腹掛けして、行衣(ぎょい)という丈の短い上衣、下衣は股引に脚絆、足は足袋(たび)に草鞋(わらじ)を履き、頭には鉢巻をまきます。

御師旧外川家住宅

今回は私一人しかいなかったので、マンツーマンでガイドをしていただきました。富士山信仰の歴史や文化を熱心に語っていただき、とても充実した時間を過ごすことが出来ました。富士吉田の歴史・文化を学ぶ上でもとても重要なことなので、遊びに来られた際は是非立ち寄ってみてください。

最後に施設の情報です。

御師旧外川家住宅 施設情報

営業時間 AM9時30分~PM5時00分
※入場はPM4:30時まで
入場料 [御師旧外川家住宅のみ]大人100円・小中高生50円
[ふじさんミュージアムとの2館共通券]大人400円・小中高生200円
[ふじさんミュージアムと富士山レーダードーム館との3館共通券]大人800円・小中高生450円
休館日 火曜日(祝日を除く)
年末年始
※GW・夏季は無休
電話番号 0555-22-1101
住所 山梨県富士吉田市上吉田3丁目14-8
アクセス 中央自動車道河口湖ICから車で5分
富士急行線富士山駅から徒歩10分

 

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