青木ヶ原樹海の東西にある二つの鍾乳洞とは?
東京から車で約2時間ほど、富士山の近くに位置する青木ヶ原樹海は富士箱根伊豆国立公園に指定されているほど、歴史的な価値も非常に高い原始林です。
今回ご紹介する「富岳風穴」・「鳴沢氷穴」はこの青木ヶ原樹海の中にあり、1200年以上前から存在する国の天然記念物なんです!
1年中通して、洞内の気温は0度~4度を保っているため、夏は涼しく過ごせます。冬には氷が作られ、夏でも氷が見られるほどの冷たさです。 2つの洞窟はトンネル式洞窟で地質学上、貴重な溶岩洞窟としても有名です。お子さんがいるご家庭であれば、喜ぶこと間違いなしです!
皆さんにも素晴らしさが伝わるように、特別に二回に分けて詳しく解説していきます。
まずは、富岳風穴編です!(2018年10月現在)

1. そもそも「風穴」と「氷穴」ってなに?
2. 荒ぶる山と美の源泉「青木ヶ原樹海」はどんな場所?
3. 【富岳風穴】樹海から洞窟へ。
4. 【富岳風穴】かつて蚕の卵や種子を保存していた「貯蔵庫」へ。
5. 【富岳風穴】まとめ
1. そもそも「風穴」と「氷穴」ってなに?
昔、主に富士山の噴火により発生した溶岩流により、麓の『青木ヶ原樹海』には多数の洞窟が生まれました。
その中でも最大級の規模であり、ともに国の天然記念物に指定されている「富岳風穴」と「鳴沢氷穴」の洞窟では、平均気温3℃という環境の中、天井から染み出した水滴が凍ってできる大きな氷柱をはじめ、自然が造り上げた氷の芸術を見ることができます。
富岳風穴
総延長201m、高さ約8.7mもの横穴が続く『富岳風穴(ふがくふうけつ)』は、昭和30年頃まで使われていた繭(まゆ)や種子の貯蔵庫。繭玉が成長しないように、また、良質の種子を保存し、芽吹きを良くするため映像状態で貯蔵していました。
富岳風穴のコースは、なだらかな横穴でお子様やご年配の方でも無理なく散策いただけます。
鳴沢氷穴
総延長156m、高さは1~3.6mの高さは頭すれすれな『鳴沢氷穴(なるさわひょうけつ)』は、今から1100年以上前、富士山の噴火により流れ出た溶岩が、徐々に冷めて凝縮する際、内部のガスが噴出した後に残った空洞が鳴沢氷穴なのです。環状型なので1周することで様々な洞窟の表情を楽しむことが出来ます。
鳴沢氷穴のコースは、自然の起伏に富んだタテ穴型洞窟です。よって場所によってはかなり低くかがまないと進めない場所や急な階段があるので、富岳風穴よりもハードなコースになります。
2. 荒ぶる山と美の源泉「青木ヶ原樹海」はどんな場所?
西暦864年の貞観の大噴火で流れ出た膨大な溶岩流(青木ヶ原溶岩流)は、北西麓にあった広大な湖「セの海」に達し、大半を埋没させました。この時にできた、約30平方キロメートルにおよぶ溶岩地帯の上に形成された原始林が青木ヶ原樹海です。
ツガ、ヒノキなど針葉樹にミズナラなど広葉樹が混ざる混合林で、溶岩の隙間のわずかな土壌や苔むした倒木の上に樹々が必死に根を張る姿など、富士山ならではの貴重な森の様相を観察できるのが特徴です。
3. 【富岳風穴】樹海から洞窟へ。
今回は河口湖駅から富士急山梨バスで富岳風穴のバス停まで来ました。まずは風穴を目指します。「西湖コウモリ穴」も気になります(笑)。
風穴の近くにある駐車所はP1が100台、P2が50台の合わせて150台駐車できます。
「森の駅 風穴」では、とうもろこしソフトやとうもろこしパフェといった風穴名物を楽しむことが出来ます。
「森の駅 風穴」から風穴入り口まで徒歩2分です。この日はあいにくの大雨☂。奥に続く細道から砂利道になります。
富岳風穴と鳴沢氷穴は青木ヶ原樹海の中に位置するため、整備されている道以外は緑一色。マイナスイオンを全身で受けます。
看板には「表面が固まった後、地中に含まれたガスが抜けて出たガス孔の跡」と書いてあります。
貞観の大噴火と呼ばれる富士山の噴火によって流れ出た溶岩はそれまであった湖を埋没させました。広がった溶岩の上に約1100年後できた森が青木ヶ原樹海です。噴火直後は地中にガスが充満していたため、ガスが地上に出るときにできた穴です。
チケット売り場に到着です。
ここを左手に進むと青木ヶ原自然歩道です。世界に誇れる富士山の森を安全に楽しめるのが東海自然歩道。東京・高尾山と大阪・箕面を結ぶ、全長1700㎞に及ぶ自然歩道の内、青木ヶ原樹海を横断するコースでは、ガイドツアーも充実しています。風穴・氷穴のような溶岩洞窟群や野鳥観察、森林浴などを楽しみながら、富士山の噴火がどれくらい絶大だったのかを想像しながら歩くことが出来ます。
風穴だけ行きたい方は上の券売機で。風穴と氷穴の2か所に行きたい方は窓口で購入になります。僕は後程氷穴にも行くのでセットで購入しました。
チケット売り場にヘルメットも置いてありました。必須ではありませんが、洞窟の天上の低いところで120㎝ほどになるので心配な方は持っていきましょう。
富岳風穴が国指定天然記念物に指定されたのは昭和4年12月17日。指定した説明が風穴の入り口に書いてありました。
風穴の入り口に到着です。辺り一帯は樹海で広がっているのに、ここだけ穴がぽっかり開いています。階段を下ると通年0℃~3℃のひんやりとした空間が待っています。
階段を下ったところから入り口を見上げると結構角度がありますね。雨の影響もあり石段が滑りやすかったです。入口階段の下は天井が低くなっているので頭上注意。
氷穴に比べるとそこまで天上は低くない風穴ですが、「Watch your head」の文字が。このあたりから周りの気温がグッと下がります。人によっては真夏でもパーカーが必要になります。
風穴には冬から初秋にかけて氷が残っているものですが、僕が訪れたときは10月中旬だったので氷は全て溶けてしまっていました。しかし、洞窟の通路には様々な表情の岩があるので、それらを見るだけでも価値があります。
どんどん奥へ進んでいきます。
少量ですが、氷を見ることが出来ました。
4. 【富岳風穴】かつて蚕の卵や種子を保存していた「貯蔵庫」へ。
ここが風穴の最深部であり、昭和30年頃まで使われていた繭や種子の貯蔵庫です。足元を見てみると、洞窟内表面付近が冷え固まる過程で、冷え切らない流動性のある表面の溶岩が落ちて棚状になる「溶岩棚」があります。
一斗缶の中にぎっしりと詰められた蚕の繭。
日本の養蚕は古代まで遡りますが、明治以降には絹の輸出が日本経済を支えるほど盛んになりました。養蚕は蚕蛾が生んだ卵の管理から始まります。蚕の卵は暖かくなり始めるころに孵化するので、養蚕の回数も年1~2回に限られていました。そこで、明治中頃に、涼しい倉庫に蚕の卵(養種)を保管して、孵化の時期を調整する技術が考えられたのです。これによって年3~4回も蚕を買うことが可能になり、絹の生産も飛躍的に上がりました。
山梨県が昭和30年頃から昭和40年頃までスギ、ヒノキ、ナラ、アカマツ、カラマツなどの種を全国から集め、密封した缶の中に入れて、種の生命を長く維持し、種一つ一つの発芽率を良くする目的で一定期間保存されてた場所です。
これらの種は毎年春に出荷されて各地で苗が育てられ、2~3年後に山々に植え付けられます。木材生産や緑化に役立ってきました。
一番奥は岩で行き止まりになっていました。岩壁についた青白く光るものは「光り苔」と呼ばれ、洞窟内に棲む微生物の餌にもなる苔です。このように一面の銀色を見せる場所は珍しいと言われています。
5. 【富岳風穴】まとめ
「【富岳風穴・鳴沢氷穴(前編)】非日常体験が出来る国指定天然記念物の洞窟に行ってみた!」はいかがでしたでしょうか。
富士山の火山活動により噴出した溶岩流の末端付近に形成された溶岩洞窟は、年間を通して低温で一定の温度を保持する環境になります。この洞窟環境を利用して、富岳風穴は近代以降に養蚕や樹木種子の保管を目的とした産業的利用が行われていきました。
昔の人の知恵が生きた天然の冷蔵庫をあなたも見に行ってみてはいかがでしょう。
次は鳴沢氷穴へ向かいます!
富岳風穴
| 営業時間 | https://www.mtfuji-cave.com/contents/information/ |
| 料金 | 大人 350円 小人(小学生) 200円 |
| 電話番号 | 0555-85-2300 |
| 住所 | 山梨県南都留郡富士河口湖町西湖青木ヶ原2068-1 |





